その結婚を実現するのは相手だけ? ~あなたは何もしなくて良いですか?~

前回までの記事で、「どんな人と結婚したいのか」ではなく、「どんな結婚をしたいのか」を考えてみよう、というお話をしました。(前回記事:「理想の相手より、理想の結婚」)

相手へ求める条件の一つひとつの奥には、

「安心して暮らしたい」

「お互いの仕事を大切にしたい」

「子どもができても協力したい」

「一緒に人生を楽しみたい」

といった、自分が本当に望んでいる結婚生活(理想の結婚)が隠れていることがあり、そこに気づくことがお相手選びのスタートになるという話でした。

では、その理想の結婚を実現するためには、それを叶えられる「理想の相手」を見つければ、それで十分なのでしょうか?

「いい人に出会えば、幸せになれる」と思っていませんか?

婚活では、こんな言葉をよく耳にします。

「いい人に出会えれば、結婚できると思う。」

「自分に合う人が見つかれば、きっとうまくいく。」

「価値観が合う人なら、喧嘩もしないはず。」

もちろん、素敵な相手と出会うことは大切です。自分に合わない人と無理に結婚する必要はありません。けれど、少しだけ考えてみてください。

仮に、あなたの理想にかなり近い人と出会えたとしても、意見が違うことはあるでしょう。

仕事が忙しくなることもあるでしょう。

お金について考え方が違うこともあるでしょう。

生活リズムが違うこともあるでしょう。

子どもが生まれれば、これまでとはまったく違う問題が出てくるかもしれません。

家族や仕事、健康、住む場所など、人生には予想できない変化も起こります。

つまり、どんなに相性の良い二人でも、「違い」や「問題」がなくなるわけではありません。大切なのは、問題が起きたときに二人でその問題をどう扱えるか、なのではないでしょうか。

良好な夫婦関係を築くのは、「相手のスペック」だけではない

夫婦関係の研究では、二人の関係を考えるとき、「どんな人と結婚したか」だけではなく、「二人がお互いどう関わっているか」、という視点にも着目しています。

例えば、後に紹介する

  • 「夫婦の意見が対立したとき、お互いの感情や相手への態度が、二人の関係維持にどう影響するか」という研究
  • 「夫婦間のコミュニケーション(話し合い)と夫婦円満はどう関わっているか」という研究
  • 「お互いを理解し合えている実感が夫婦関係にどう影響するか」という研究

などがあります。

こういった研究が存在するということは、つまり、結婚生活は、「誰と結婚するか」という一回の選択だけではなく、「二人が日々どのように関係をつくっていくか」というプロセスでもある、ということです。

 では、順に夫婦の関わり方が関係性にどう影響するのか、みてみましょう。

夫婦の結婚満足度は、感情の扱い方で変わってくる

13年間、3回にわたって中高年の長期結婚カップルを追跡した研究では、夫婦間で意見対立が生じたときに、否定的な感情(怒り、蔑み、防衛的態度など)をどの程度うまく落ち着かせられるかによって、夫婦満足度が変わるのか、が調べられました。

その結果、妻の否定的な感情や行動を落ち着かせる能力が高いほど、その時点での妻だけでなく夫の結婚満足度が高いことが示されました。さらに妻が否定的な行動を調整・沈静化させるスピードの速さは、13年間にわたる将来の妻の結婚満足度の維持・向上とも関連していました。

この関連のプロセスには、否定的な感情を素早く収めることで「建設的なコミュニケーション(話し合い)」が維持・促進されることが深く関与していることが明らかになりました。

 ここから分かるのは、「怒らない人がいい」という単純な話ではなく、感情が動いたとき、自分自身をどう扱うのか。そして、その状態で相手とどう関わるのか。ということが、夫婦関係を考える上で重要だということです。

「話し合える人」となら結婚生活はうまくいく?

婚活では、「話し合える人(=コミュニケーションの取れる人)がいい」という希望をとてもよく耳にします。とても大切な希望です。

この「話し合える」というのは、単に会話が上手なことではなく、例えば、

「私はこう思う」と伝えるだけではなく、「あなたはどう思う?」と相手の考えを聞ける。

自分と違う意見が出ても、「それは間違っている」とすぐに否定しない。

自分の意見を変える必要があるときには、変えられる。

二人のどちらか一方ではなく、「私たちにとってどうするのがいいか」を考えられる。

こうした力も、「話し合う(コミュニケーション)」という行為の中には含まれています。

では、こういう話し合いの能力(コミュニケーション能力)があれば、結婚生活は円満なのか?と思えば、そう単純ではないのです。

 新婚カップルを調査した研究によれば、ある一時点で見ると、満足度の高いカップルほど「否定的な言動が少なく、肯定的な言動が多い、より効果的なコミュニケーション(話し合い)をとっている」という結果が得られました。しかし、複数回(9か月おきに4回など)追跡した結果、「コミュニケーション(話し合い)の質がその後の満足度を高める」という因果関係は得られなかったのです。

つまり、単にコミュニケーション能力(話し合う能力)を高めることだけが夫婦の長期的な満足度や関係維持の決定打になるわけではないのです。

夫婦関係は、それほど単純ではありません。だからこそ、私たちはもう少し広い視点から、「二人で結婚生活を運営する力」を考える必要があります。

相手を理解することも、結婚生活の一部

「パートナー・レスポンシブネス(perceived partner responsiveness)」という夫婦関係の研究で興味深い概念があります。

簡単に言えば、

「相手は自分のことを理解してくれている」

「自分のことを大切にしてくれている」

「自分のことを気にかけてくれている」

と感じられることです。

2,000人を超える既婚者を対象とした10年間の縦断研究では、こうした「パートナーが自分を理解し、気にかけ、評価してくれている」という認識が、その後10年の幸福なパートナーシップと関連していました。

ここからも、「どんな相手を選ぶか」だけではなく、「相手をどう理解し、相手からどう理解される関係をつくるか」という視点の重要性が見えてきます。

結婚すると、「二人の問題」が増えていく

独身のときは、

「自分のお金をどう使うか」

「どこに住むか」

「どんな仕事をするか」

「休日をどう過ごすか」

ということを、基本的には自分で決められます。

でも、結婚すると、

「二人のお金をどうする?」

「どこに住む?」

「家事はどう分担する?」

「子どもについてどう考える?」

「仕事と家庭をどう両立する?」

「親との関係をどうする?」

といった、「一人では完結しない問題」が増えていきます。

 だから結婚生活には、「自分のことができる力」だけではなく、「二人の問題を二人で扱う力」が必要になります。

「相手に求める力」と「自分が持つ力」

ここで、婚活に少し違う視点を持ってみませんか。

例えば、「感情的にならない人がいい」という希望があるとします。もちろん、それは大切な希望です。でも、同時に、「私は、感情的になった相手にどう接するだろう?」と考えてみる。

「話し合いのできる人がいい」なら、「私は、自分と違う意見を言われたとき、どう反応するだろう?」と考えてみる。 

「優しい人がいい」なら、「私は、相手が疲れているときに、どんなふうに支えられるだろう?」と考えてみる。

つまり、相手に求める条件を、自分自身にも問い返してみる。これは、自分を責めるためではなく、自分を知るためです。

「結婚できる人」ではなく、「結婚生活をつくれる人」

婚活では、「結婚できるかどうか」という言葉をよく見聞きします。

でも、アルパ青山では、少し違う問いを持ちたいと考えています。

「この人は、結婚生活を一緒につくっていけるだろうか?」そして、もう一つ、「私は、結婚生活を一緒につくっていけるだろうか?」

この二つは、とても似ていますが、意味は大きく違います。

「結婚適応力」という考え方

アルパ青山では、「結婚適応力」という考え方を大切にしています。

これは「結婚に向いている人/向いていない人」を決めるためのものではありません。

まして、「点数が高い人ほど良い結婚ができる」という単純なランキングでもありません。

結婚生活の中で起こる、自分自身の問題、相手との違い、生活上の課題、人生の変化に対して、どのように向き合い、調整し、二人の関係をつくっていけるか。その力を、自分自身で知るための考え方です。

例えば、

自分のことを理解できているか。

感情を適切に扱えるか。

相手の立場を理解しようとできるか。

信頼関係をつくれるか。

意見の違いを話し合えるか。

二人の生活を現実的に運営できるか。

そして、

二人の未来を一緒につくっていけるか。

こうした視点から、自分自身を見つめていきます。

大切なのは「完璧な自分」になることではない

ここで誤解してほしくないことがあります。

結婚適応力が高い人とは、「怒らない人」でも、「いつも冷静な人」でも、「家事が完璧な人」

でもありません。人間ですから、感情的になることもありますし、失敗することもあります。

相手を傷つけてしまうこともあります。意見がぶつかることもあります。

大切なのは、「問題が起きない自分」になることではありません。

問題が起きたとき、「どうすれば二人にとって良い方向へ戻れるだろう?」と考えられること。そして、「自分にも変えられるところがあるかもしれない」と振り返れること。

それもまた、結婚生活をつくる力なのだと思います。

結婚は「相手選び」で完成するものではない

婚活では、「どんな人を選ぶか」にたくさんの時間を使います。もちろん、それは重要です。

でも、結婚というのは、一人の完成された人を見つけて終わるものではありません。

二人の人間が出会い、それぞれ違う価値観や経験を持ちながら、一緒に暮らし、話し合い、時にはぶつかり、支え合い、生活をつくり、環境の変化に合わせて、また二人の形を変えていく。その繰り返しです。

だからこそ、「どんな相手を選ぶか」と同じくらい、「自分はどんな結婚生活をつくれる人なのか」を知ることが大切なのではないでしょうか。

次回は、「結婚に必要な7つの力」について

では、「結婚生活をつくる力」とは、具体的に何なのでしょうか。

アルパ青山では、これを一つの能力だけで考えません。

自分自身を理解する力。

自分の感情や行動を整える力。

相手を理解する力。

信頼関係をつくる力。

違いを話し合い、調整する力。

生活を現実的に運営する力。

そして、

二人の未来を一緒につくる力。

これらを7つの視点から考えています。

次回は、「結婚生活に必要な7つの力とは?」というテーマで、アルパ青山が考える「結婚適応力7軸」について、もう少し詳しくお話しします。

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